性器ヘルペスとは?

性器ヘルペスは一度の感染で体内にウイルスが潜伏し完全に消滅することがない!?
性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)を病原体とする性感染症(以下、「性病」という)です。単純ヘルペスウイルスの感染によって、発症部位に小さな水ぶくれが複数現れ、痛みを伴うことが多い疾患です。ヘルペスウイルスは一度感染すると、ウイルスが体内に潜伏し完全に消滅することはないので、性器ヘルペスは再発する可能性があります。ヘルペスウイルスは感染すると感染部位の支配神経を上行性につたっていきますが、性器ヘルペスの場合はその支配神経領域の神経節である腰仙髄神経節などに潜伏感染します。そして、潜伏感染しているヘルペスウイルスは何らかの刺激(疲労、風邪、飲酒等)で再活性化し、潜伏する神経節が支配する領域の皮膚や粘膜に症状が出ます。病変となります。そのため、ヘルペスウイルスに一度感染すると何度も再発を繰り返す可能性があります。性器ヘルペスの報告数はここ数年は1年間に9000件程度とされていますが、年齢層は20~30代が多いのは他の性病と似ているものの、それ以外の年齢でもクラミジアや淋病と比較して報告数の比が小さいのが特徴です。再発が特徴的な性病であるため、高齢者でも発症することで広い年齢層で見られます。

※参照元
※「精器ヘルペス」ではなく「性器ヘルペス」が正しい表記になります。

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性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染により、発症部位に小さな水ぶくれが複数現れ、痛みを伴うことが多い性病です。3〜5日経過すると水ぶくれが破れてびらんや潰瘍となり、その後はかさぶたとなります。途中で膿が出る・腫れる・熱が出ることもあり、症状が強いと痛みで歩くことも難しくなることがあります。その後は黒いかさぶたを伴って治癒していきますが、治癒後もチクチクと痛みが続くことがあります。


 

発症には「初めての発症(初発)」と「再発」がある

発症には「初めて発症した時=初発」と「2回目以降の発症=再発」の2種類あり、単純ヘルペスウイルスが性器に感染すると神経を伝っていき、主に腰仙髄神経節といわれる脊髄の近くに潜伏します。潜伏している単純ヘルペスウイルスが再活性化されると、神経を伝って下っていき、皮膚や粘膜に病変を形成して症状が出ます。また、発症には「初発」と「再発」の2種類ありますが、感染しても発症しない場合もあるので、注意が必要です。

初発は痛みが強く水ぶくれが複数現れる

初発時は、痛みが強く水ぶくれができ、水ぶくれが破れるとただれ(潰瘍)に変化して強い痛みを伴います。歩くことさえつらくなり、足の付け根のリンパ節がはれたり、熱が出たり、排尿痛も同時に伴うことがあります。これらの症状はじきになくなりますが、初発の強さは感染してからの期間や個人差も大きく、感染して1年以上症状がなく初発時に軽い症状が出るだけのこともあります。

再発の症状は軽いが免疫力が弱いと現れる

性器ヘルペスはときどき再発し、初発時と比べて症状が軽いことが多く、外陰部の腫れやただれが主な症状であることが多いです。体調が悪くなると再発しやすく、ストレス・寝不足・日焼け・ひふの刺激などもよくある原因です。再発時は初発時と比べて症状は軽いことが多く、熱やリンパ節の腫れはほとんどおきません。また再発する前には、ムズムズとしたかゆみが出たりチクチクした痛みと違和感があることが多く、前駆症状と呼ばれています。

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性器ヘルペスの男女別で見る感染部位と特徴

性器ヘルペスの原因となるウイルスに感染すると上記のような症状が見られます。症状が出ていない時や、病変が小さくてわからない場合でもウイルスが活性化している可能性もあります。自覚症状がなくても他者に感染させる危険性があるので注意が必要となります。特に男性の場合は再発しやすいと言われております。

男性の主な感染部位と特徴

男性の場合は性器や肛門(または口唇)周辺の皮膚や粘膜に発生します。症状は赤茶色の水ぶくれや、神経痛などの痛みを伴う場合があり、体調によって症状が悪化する場合があります。実際には、水ぶくれが破れてびらんや潰瘍となり、その後かさぶたになってから来院される方が多く見られます。また、初発時には、特に症状が強く出やすいと言われています。

女性の主な感染部位と特徴

女性の場合は性器周辺や肛門(または口唇)付近の粘膜に加えてお尻や太ももなど周りの皮膚、膣内・子宮頚管・膀胱に発生することもあります。症状は小さな水ぶくれが複数現れ、痛みを伴うことが多いです。男性と同様に初発時には、症状が強く出やすいと言われています。実際には、水ぶくれが破れてびらんや潰瘍となり、その後かさぶたになってから来院される方が多く見られます。また、尿道周囲に発生すると排尿痛や頻尿のような膀胱炎の症状が伴うこともあります。

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膀胱炎のような症状が続いている方はこちら

性器ヘルペスの感染経路と潜伏期間

主な感染経路は性行為やそれに準ずる行為であり、男女ともに感染・発症する可能性のある性病です。感染力が高く、感染源の特定が難しい性病でもあります。

感染力が高いため感染経路もさまざま

性器ヘルペスは、オーラルセックスによっても感染しますが、感染力がとても強いため、お風呂やトイレ、コップや箸の共用などで感染することもあります。単純ヘルペスウイルスは症状がなくても多くの方が感染していると考えられており、唾液中にも存在します。口唇や太ももやお尻、肛門等の性器の周囲に発生することもあり、コンドーム等の使用でも完全に防ぐことはできない性病です。

潜伏期間には個人差もあり感染源の特定は難しい

性器ヘルペスの潜伏期間は一般的に、感染してから初発まで5〜10日と言われています。ただ個人差も大きく感染源不明の非初感染初発も多いため、実際に感染源を特定することは難しいことが多いです。

性器ヘルペスが妊娠・出産に与える影響

性器ヘルペスに・・・いつ感染した?性器ヘルペスが妊娠・出産に与える影響【妊娠前~妊娠初期・妊娠後期~出産】
性器ヘルペスは遺伝しないので、感染していても妊娠への影響はありません。しかし、感染した時期によって赤ちゃんの性器ヘルペスに対する感染リスクは異なるので、妊娠前から出産まで2つの時期に分けて解説していきます。

妊娠前から妊娠初期

感染が妊娠前の場合、母親の胎盤を通じて赤ちゃんにも免疫ができ、出産時にウイルスから守ってくれるため赤ちゃんへの感染リスクは非常に低くなります。また、子宮内でウイルスが胎児に感染することは極めて少ないため、妊娠初期や中期に感染した場合にも感染への心配はほとんどありません。

妊娠後期から出産

上記の妊娠前から妊娠初期・中期と比べて妊娠後期から出産時にはウイルスがある産道を赤ちゃんが通るため、新生児ヘルペスになるリスクがもっとも高くなります。母親が初感染の場合は、母親もウイルスに対する免疫が十分に備わっていないため、赤ちゃんをウイルスから守ることができないので、妊娠後期から出産時には性器ヘルペスへの感染に十分に気を付ける必要があります。

性器ヘルペスに感染した時の検査・治療

性器ヘルペスは主に診察で判断します。確定診断できるものが少ないのが現状ですが、診断の補助として診察に様々な方法を組み合わせることもあります。ヘルペスの診断には即日検査もありますが、偽陰性(性器ヘルペスであるのに検査陰性となる)が多い検査であり、あまり普及していません。性器ヘルペスは症状、所見、経過に特徴があるため、診察にて診断することが重要です。

検査

症状がはっきりしている場合を除いて、認知度の高い性病ですが診断を確定させることが難しいことが多いです。

【検査方法と検査できる時期】
 
・症状がある場合:皮膚擦過による抗原・抗体検査(実際には診察で判断し検査しないことが多いです)
※即日検査は10分程度で結果が出ます

・症状がない場合:採血による抗体検査
※2~7日後に結果はWEBで確認できます

抗体検査の場合は感染機会から1ヶ月以上経過で検出できる可能性があります。

 
採血による抗体検査はヘルペスに感染している可能性を示すものとなり、現在の状態を示すものではありません。また、過去にヘルペスの症状が出ていない方でも抗体検査で抗体が検出される可能性があり、感染源になっているかどうかを示すものではありません。

治療

性器ヘルペスの治療は症状を抑える治療となり、抗ウイルス薬の内服が主な治療となります。

初発の場合:薬剤を10日間内服

再発の場合:薬剤を5日間内服

 
単純ヘルペスウイルスは多くの方が感染しているウイルスですが、現在の治療ではウイルスが一度感染すると体内から排除することはできません。性器ヘルペスは治療を実施しても再発することが多い性病のため、再発に注意して体調管理に気を付け、再発したと感じたらできるだけ早く治療を実施することが重要となります。

予防と対策

性器ヘルペスの感染予防にはコンドームが効果的ですが、様々な部位に発症するため、コンドームの使用でも防げないことがあるので注意が必要です。

【感染した際に日常生活の注意点】
 
性器ヘルペスの症状が出ているとき
患部を清潔に保ちます。
水ぶくれの中にはウイルスが多く含まれているので、患部に触れたあとは手指をきれいに洗ってください。

お風呂やトイレ
感染している方が入ったお風呂に浸かっても、ウイルスに感染することはほとんどありませんが、タオルは共有は避けた方がいいかもしれません。
洗濯・乾燥により、感染の可能性を下げることができます。
お尻に症状が出ている場合は、お尻が直接便座に触れないようにするか、使用後は消毒してください。

性行為
症状が出ている間の性行為は他者に感染する可能性があります。

再発を予防する
体調管理に注意してください。
疲れやストレスを溜めないことが再発の予防に繋がります。
ヘルペスに対するワクチンはありませんので、ヘルペスは現在も感染を予防できる性病ではありません。もし感染した場合には再発の予防が重要となります。

まとめ

今回は「性器ヘルペス」について解説しました。

  • ヘルペスは一度感染すると治癒した後も再発する可能性がある
  • 初発時には強い痛みを伴い歩くもの辛いこともある
  • 感染力が強く感染経路が多いため感染源の特定が難しい
  • 妊娠後期から出産時は赤ちゃんへの感染リスクが高い
  • 症状、所見、経過に特徴があるため、診察で診断することが多い
  • 感染した場合には日常生活から再発の予防が重要

 
もし、今回紹介した具体的な症状に当てはまる、もしかしたら性器ヘルペスに感染しているかもしれないと少しでも感じた方は、当クリニックでも検査を受けることができますので、お気軽にご相談ください。

ノワール大宮
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ノワール大宮クリニック 院長:成田学史

執筆者:成田 学史
ノワール大宮クリニック院長(医師)
2014年(平成26年)北海道大学医学部医学科卒業
日本性感染症学会 会員
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