HIV・AIDS(エイズ)とは?その違いと症状、対処法を解説

HIVとエイズは同じ病気ではありません。よく、HIV=エイズを勘違いされている方がいらっしゃいますが、それは誤った知識になります。

性感染症(以下「性病」という)の中でもよく聞くこの2つの病気について、どのような違いがあるのか?対処方法はどうしたらいいのか?について、解説いたします。

HIVとは?AIDS(エイズ)とは?違いは何?

HIVとは、Human Immunodeficiency Virus「ヒト免疫不全ウイルス」の頭文字の略称です。HIVはウイルスの名称で、HIV感染症はウイルスに感染している状況を指しています。

一方、AIDSは、Acquired immune deficiency syndrome(後天性免疫不全症候群)の頭文字の略称です。HIVに感染した後、免疫能が低下して、「真菌症・原虫症・細菌感染症・ウイルス感染症・悪性腫瘍」などのAIDSの指標疾患が発症した状態を指します。

HIV・AIDS(エイズ)の感染経路のパターン


HIVの感染には大きく分けて3つのパターンがあります。また、感染の疑いある際の症状について解説いたします。

①性行為、それに準ずる行為による感染

HIVの感染は大半が性行為、それに準ずる行為によるものです。また、その場合の感染経路のほとんどが粘膜感染によるものです。例えば、女性は膣粘膜・男性は亀頭部分
(粘膜)の細かい傷から、HIVウイルスが侵入し感染します。

そして、他の性病に感染していると粘膜が傷つきやすくなり、HIVが侵入しやすくなり、HIVの感染リスクが高まります。HIVは性行為により誰でも感染する可能性があるため、コンドームの正しい使用法などによる感染予防が重要になります。

②血液感染

血液感染のパターンは「注射器・注射針の使い回し」「HIVが存在する血液の輸血」「医療現場・献血等での針刺し事故」などが考えられます。このように、HIVの感染経路はB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスと似ています。

しかし、日本の医療機関や献血場所では注射器・注射針は使い捨てで使用されています。輸血では厳格なHIV検査が実施されており、HIVの血液感染の可能性は極めて低いです。

③母子感染

母子感染は、HIVに感染した女性が妊娠中や出産時、出血又は母乳によりお母さんから赤ちゃんにウイルスがうつることがあります。

しかし、現在では感染予防策を実施することで多くの場合で母子感染を防ぐことができます。そのため、現在では母子感染による赤ちゃんへのHIV感染の確率は0.5%未満となっております。

HIV感染~AIDS(エイズ)発症までの症状と期間


HIVに感染すると非特異的な症状ですが数週間後に症状が出ることが多いです。HIV感染後に治療を行わずにいると、エイズが発症しますがその期間は3段階に分けられます。

また、HIVは感染したときに症状を自覚しにくいことが多いので、エイズが発症してから気が付く「いきなりエイズ」と呼ばれるものもあります。

感染初期の症状

・発熱
・倦怠感
・体重減少
・下痢
・風邪によく似た症状(咳、発熱、発疹、リンパ節の腫れなど)
・脂漏性皮膚炎

AIDS(エイズ)発症の症状

・日和見感染症:免疫力が低下することで、健康時に問題なかった体内の細菌やウイルスによって起こる病気
・悪性腫瘍:カポジ肉腫、悪性リンパ腫、皮膚がんなど
・神経症状:HIV脳症など
・壊疽

HIV感染直後

HIV感染直後には下記のような症状がみられることがあります。

  • 発熱
  • 咽頭痛
  • 咳や鼻水
  • 倦怠感
  • 下痢や吐き気
  • 食欲不振
  • リンパ節腫脹

このようにインフルエンザと似たような症状が出ることがありますが、症状が出るのは感染から数週間ほどで自然に消滅します。

これらの症状はHIV感染に特異的な症状ではないこと、感染者全員に症状が現れるわけではないことから、HIV感染に気づかず早期発見できない場合も多くなります。少しでも違和感を感じた際には、HIV検査を受けるのがお勧めです。
HIVの感染後に治療が行われず、エイズが発症するまでの期間は3段階に分けられます。

AIDS(エイズ)発症までの1段階目「HIV感染初期期間(急性期)」

最初の段階は「HIV感染初期期間(急性期)」になります。HIVに感染した直後のインフルエンザと同じような症状が出現します。

AIDS(エイズ)発症までの2段階目「無症候性キャリア期」

急性期の後は、症状がない「無症候性キャリア期」になります。無症候性キャリア期の怖いところは、症状がないため、「自分は大丈夫」と認識してエイズが発症してから気付くことです。

また、無症候性キャリア期の期間は個人差が大きく、HIVに感染していることに気付かずに他者への感染源になることもあります。この期間もHIVは増殖し続けており、感染者の免疫力は徐々に低下していきます。

AIDS(エイズ)発症までの3段階目「AIDS(エイズ)期」

HIVの検査・治療を受けずにいると、感染者の約半数が10年前後を経過するとエイズを発症します。エイズが発症、またその前ぐらいからは下記のような症状が見られます。

  • 長期間にわたるしつこい下痢
  • 原因不明の体重減少
  • 大量の寝汗

そして、エイズは23の合併症と言われる指標疾患があり、それらいずれかを発症した状態をエイズと診断します。

いきなりAIDS(エイズ)について


HIVの感染後は大きく3段階の期間があるとご紹介いたしましたが、それ以外にも「いきなりエイズ」というケースがあります。いきなりエイズは、HIV感染症は症状が分かりづらいため、エイズを発症して気付くパターンになります。

エイズを発症した場合、余命は2〜3年と言われています。HIV感染の早期発見はエイズ発症の予防治療で対処できる場合が多いですが、エイズ発症後は入院治療が必要になるケースも多いです。そのため、いきなりエイズの場合は入院が必要になる可能性が高いです。

HIV・AIDS(エイズ)の検査方法と検査ができる時期


エイズにおいて重要なのはエイズを発症させないことで、まずはHIVの感染の有無を検査で判定することです。HIVは感染直後に検査を実施しても感染の有無を正しく判定できない可能性があることから、感染してから22日(約3週間)以上経ってからHIVを検査で検出を可能とする病院が多いです。

ただし、リアルタイムPCR法と呼ばれる検査法では、感染して11日(約2週間)後から検出が可能となり、従来より早くHIVの検出が可能です。

HIV・AIDS(エイズ)の療法方法

定期的に医師の診療を受け、抗HIV薬の内服で症状を軽くする治療を受けます。ウイルスを完全に消滅させることはできませんが、様々な治療薬を使用することによってウイルスの増殖を抑制し、病気の進行を大幅に抑えることができます。

HIV・AIDS(エイズ)の予防方法

コンドームを正しく使用し、HIVとエイズについて正しい情報を知ることが予防する上でとても重要です。

また、HIVの予防療法として以下で解説するPrEP療法やPEP療法があり、これらを利用して予防することも可能です。

PREP療法・PrEP療法

どちらもHIVの予防薬を利用したHIV感染予防治療となります。性交渉をした後に薬を内服して治療するのがPEP療法、性交渉をする前から薬を内服して治療するのがPrEP療法です。

PEPとは、曝露後予防(Post Exposure Prophylaxis)を意味する略語のことです。HIVに感染したかもしれない性行為や医療事故等のHIVに感染の可能性がある際に実施するHIV感染に対する予防治療となります。

PrEPとは、曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis)を意味する略語のことです。HIVに感染するリスクが高い方(HIV感染者と性行為がある方、パートナーがHIV感染者等)が実施するHIV感染に対する予防治療となります。

HIVに対する予防薬-抗HIV薬によるPEP療法・PrEP療法とは?

まとめ

今回は「HIVとAIDS(エイズ)の違い」について解説しました。

  • HIVとエイズは混同されやすいが異なる意味を持つ言葉
  • HIVに感染しているかの判定と治療は医療機関でできる
  • エイズを発症させないために重要なことはHIVの感染を早期発見すること
  • エイズは感染すると数週間後にインフルエンザの様な症状が見られる

もし、性病へ感染する可能性のある行為に心当たりがあるかもしれないと、少しでも感じた方は、当クリニックでも検査を受けることができますので、お気軽にご相談ください。

ノワール大宮
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ノワール大宮クリニック 院長:成田学史

執筆者:成田 学史
ノワール大宮クリニック院長(医師)
2014年(平成26年)北海道大学医学部医学科卒業
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