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マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症とは?
こんな症状ならマイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症かも?
男性に多く見られる場合
- 排尿時の軽い痛み、違和感、かゆみ
- 尿道から少しサラサラした分泌物が出る
- 無症状や症状を自覚しない場合も
女性に多く見られる場合
- 不正出血、下腹部痛、かゆみ
- 性交時の痛み
- オリモノの臭いが変わる、量が増える
- 無症状や症状を自覚しない場合がほとんど
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症かも?と思ったら
マイコプラズマ・ウレアプラズマの詳しい説明
目次
マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症(以下、「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」という)とは、4種類の原因菌によって生じる感染症です。日本でこの検査が行われるようになったのが 2012年からと比較的、最近知られるようになった感染症でもあります。
4種類の原因菌によって治療法が異なる感染症
原因菌には主に下記の4種類が知られています。
- Mycoplasma genitalium(マイコプラズマ ジェニタリウム)
- Mycoplasma hominis(マイコプラズマ ホミニス)
- Ureaplasma parvum(ウレアプラズマ パルバム)
- Ureaplasma urealyticum(ウレアプラズマ ウレアリチカム)
上記の4種類の菌において、検出される菌の種類により治療法が異なっており、薬剤耐性の傾向や症状に関しても異なっていることが多いです。また、まだよくわかっていない部分もある感染症となります。
認知度が低いため他の性病と同時の検査が必要
クラミジア感染症(以下「クラミジア」という)や淋菌感染症(以下「淋病」という)はよく知られた感染症であり、発生している数も統計がありますが、マイコプラズマ・ウレアプラズマに関してはまだあまり知られていないため検査を受けられる方が少ないのが現状です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマは気づかないうちに感染していることも多く、クラミジアが検出されないから安全というわけではありません。
将来の不妊症や早産・子宮外妊娠などの考えられるリスクを避けるためにも、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査も同時に受けて可能性のある性感染症(以下「性病」という)は全て治療しておく必要があります。
男性では原因不明となる尿道炎の原因になることが多い
男女ともにクラミジアの症状と似ており、症状を自覚していなかったり無症状の場合が多いです。
そのため、医療機関を受診せず放置していることも多く、男性の場合は「非クラミジア性非淋菌性尿道炎」というクラミジアや淋菌が検出されない原因不明の尿道炎の中でも多くの割合を占めると考えられています。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの主な感染経路
主な感染経路は性行為、またはそれに準ずる行為となります。マイコプラズマ・ウレアプラズマは前述した通り、2012年から検査が可能になったため、クラミジアや淋病など他の性病に比べて認知度は高くない傾向にあります。
しかし、クラミジアや淋病の感染率と同様に高い確率で感染が見られるケースもあり、感染力は弱くないと考えられます。
心当たりがない感染
マイコプラズマ・ウレアプラズマは症状を自覚されなかったり、無症状の場合も多く、感染に心当たりがない場合も多いです。
あまり知られていないため検査を受けられる方が少なく、常在菌と考えられ検査や治療を受けない方もいます。
パートナーに症状が出て医療機関を受診して感染が判明することがあり、感染経路が不明な場合も多いです。気づかないうちに他者への感染源となるため、他の性病と同時の検査が必要です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマが感染する部位
性行為やそれに準ずる行為が原因となり、男性の場合は尿道、女性の場合は膣に感染します。他にも、男女とも咽頭や直腸への感染も多くみられます。
性行為での感染率は、約30〜50%と高い感染力にも注意が必要です。
男女別の潜伏期と初期症状
こちらでは、男女別の潜伏期と初期症状について解説します。
男性における潜伏期と初期症状
男性の場合、マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染すると1〜4週間の潜伏期を経て、排尿時に痛みの違和感が出るようになり、痛み、痒み、尿道から膿が出ることもあります。
女性における潜伏期と初期症状
女性の場合、マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染すると1〜4週間の潜伏期を経て、子宮頚部の炎症やオリモノに異常(色・におい)が見られることがあります。
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マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状
男性のマイコプラズマ・ウレアプラズマの症状
クラミジアと似ており尿道炎が主な症状となりますが、症状がはっきりしなかったり無症状で感染に気づかない方もいます。
排尿時の違和感、軽い痛み・かゆみ、尿道からの膿(透明や白色であることが多い)
重症例では多量の膿、頻尿・排尿困難、精巣上体炎(発熱することがあり、男性不妊症の原因にもなる)
排尿で痛みを伴う原因には性病が大きく関係していることも⁉
男性のなかなか治らない前立腺炎や膀胱炎に注意
クラミジアと同様に頻尿、残尿感、排尿後の痛みや不快感などの症状で膀胱炎や前立腺炎が疑われる際の原因がマイコプラズマ・ウレアプラズマであることがあります。あまり知られておらず自然治癒はしないため、長期間感染していることもあります。前立腺炎や膀胱炎を繰り返す場合は注意が必要です。
女性のマイコプラズマ・ウレアプラズマの症状
男性と同様にクラミジアの症状に似ており、自覚症状に乏しいか無症状の方が多いです。
オリモノの異常・増加(透明や白色の漿液性、黄色の粘液性)、かゆみ、排尿痛、頻尿および切迫尿意、不正出血、下腹部痛、性交痛、かゆみ
女性のなかなか治らない膀胱炎に注意
クラミジアと同様に頻尿、残尿感、排尿後の痛みや不快感などの症状で膀胱炎のような症状を繰り返す原因がマイコプラズマ・ウレアプラズマであることもあります。マイコプラズマ・ウレアプラズマはあまり知られておらず自然治癒はしないため、長期間感染している方もいます。膀胱炎を繰り返す場合は注意が必要です。
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咽頭や直腸マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状
上記で説明したように男女ともにクラミジアと症状が似ており、検査以外で区別することが困難となります。
- 咽頭:のどの痛み、発熱
- 直腸:肛門の痛み、肛門からの排膿
また、クラミジアや淋病と同様に咽頭や直腸への感染も考えられますが、この場合もほとんど症状がないため、気づかないまま感染している人も多いと考えられています。
クラミジアなど他の性病との重複感染のリスク
クラミジアや淋病と重複感染している可能性もある
マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染が判定された場合は、クラミジアや淋病と重複感染している可能性もあります。それぞれ治療法が異なるため、可能性があるものを含めて検査を行い、それぞれの病気に対して適切な治療が必要になります。
複数の性病が同時に感染する重複感染
クラミジアと比較して治療が難しい
クラミジアと異なる点として、マイコプラズマやウレアプラズマは感染している菌の薬剤耐性が進んでいる可能性があるという点です。
現時点で効果のある薬剤は限られており、効果のある薬剤に関しても使用する量や期限に注意する必要があり、治療することが難しいのが現状です。
今後、新たな治療法により、より治療が容易になる可能性もありますが、現時点では検出も治癒も他の性病と比較して難しいので、確実な検査と治療が重要です。
放置すると男女ともに不妊症のリスクを伴う
感染したまま放置することで、男性も女性も不妊症となる可能性があり、女性においては早産や子宮外妊娠のリスクも高くなると考えられています。
将来の不妊症や早産、子宮外妊娠のリスクを避けるためにも、自覚症状の有無にかかわらず心配な場合や心当たりがある場合は検査を受けることが重要です。感染が判明したら治療を実施しましょう。
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マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査方法と診断
男性の性器マイコプラズマ・ウレアプラズマ検査方法
男性のマイコプラズマ・ウレアプラズマの検査法としては、検体として尿を用いて、核酸増幅法(以下「PCR法」という)による診断が可能です。
女性の性器マイコプラズマ・ウレアプラズマ検査方法
女性のマイコプラズマ・ウレアプラズマの検査法としては、子宮頚管からスワブ(綿棒のようなもの)で検体を採取して、PCR法による診断が可能です。
女性の場合、クラミジアと同様に無症状や自覚症状に乏しいことが多く、女性のマイコプラズマ・ウレアプラズマの診断は男性と比べて遅れがちなのが現状です。
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咽頭や直腸マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査方法
男女ともに咽頭や直腸のマイコプラズマ・ウレアプラズマの場合は、検体としてぬぐい液を用いてPCR法による診断が可能です。
咽頭や直腸のマイコプラズマ・ウレアプラズマでは、クラミジアや淋病と症状で区別はできません。重複感染していることも考えられるので、同時の検査を推奨しております。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療方法
マイコプラズマ・ウレアプラズマは、基本的に内服薬にて治療します。前述した4種類ある原因菌のどれが検出されるかに合わせて治療薬を調整します。
治療効果は高いが治療薬の選択肢が限られている
複数の菌が重複して感染する場合もあり、その場合は治療期間が長くなったり治療薬が複数となることもあります。
原因菌に合わせて適切な治療を選択した場合の治療効果は80〜90%近くになると考えられますが、クラミジアと比較して効果のある治療薬が限られています。
薬剤への耐性化も進んでいると考えられるため、治療薬の適切な容量と期間を選択して、確実な治療をしていくことが重要となります。
医師の指示に従い確実な治療が重要
治療期間が長くなることがあり、確実な治療が必要となりますが、治療薬の飲み忘れ等の場合は治療効果が下がります。
妊娠中だと治療薬を変更することがあり、治療効果が下がることがあります。
クラミジアとよく似た症状でありながら、以下の内容から医師の指示による適切な治療薬を確実に使用することが治癒に重要となります。
- クラミジアと比較して高い治療効果が得られる薬剤が少ない
- 治療期間が長くなり確実な治療が必要
- クラミジアの治療に使用する薬剤では治療効果がないこともある
- 妊娠中だと治療薬を変更することがある
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療結果
治療終了から1〜2週間後に検査によりマイコプラズマ・ウレアプラズマが検出されないか検査します。
原因菌に対する治療薬の選択が重要
淋病やクラミジアとは治療法が異なることもあり、マイコプラズマ・ウレアプラズマは確実な治療が行われないこともあります。
薬の治療から1~2週間後に検査で治癒を確認する
治療内容によっては治療効果が下がることも考えられ、確実な治癒が得られないこともあります。効果の高い薬剤が限られており新たな耐性菌の出現も懸念されているため、マイコプラズマ・ウレアプラズマの確実な治癒を目指して、治療終了後1~2週間以上経過してからマイコプラズマ・ウレアプラズマが検出されないか検査で確認することを推奨します。
まとめ
今回は「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」についてご紹介しました。
- 原因菌は4種類、治療法は菌により異なる
- 感染者数は多いが認知度が低く、検査を受ける方が少ない
- 男女ともに症状がクラミジアと似ている
- 効果の高い治療は限られ、原因菌に合わせた治療が必要
マイコプラズマ・ウレアプラズマはクラミジアや淋病など他の性病とよりも治療が難しく、効果の高い治療が限られています。
感染者数は多いですがクラミジアと症状が似ていることもあり、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査を受けられない方が多いです。
検査を受けて原因菌に合わせた適切な治療を行うことで、将来の不妊症や早産、子宮外妊娠の後遺症のリスクを避けることに繋がります。
クラミジアや淋病などと同時に検査を受け、検出されたら治療を実施していきましょう。

ノワール大宮クリニック院長(医師)
2014年(平成26年)北海道大学医学部医学科卒業
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