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性感染症と主な症状
トリコモナス症とは?
トリコモナス症は、男性よりも女性に症状が強く現れ、再感染する性感染症(以下「性病」という)として考えられています。
再感染の理由として、女性が感染し治療したものの、パートナーの男性が自覚症状がなく検査・治療をおこなわずパートナーとの間で再感染を繰り返すことが原因のひとつです。
パートナー同士での感染を繰り返さないためにも、症状が出ている時はもちろん、無症状でもパートナーが感染している場合には検査を受け、治療を遅らせないことが重要です。
目次
トリコモナス症とは
「トリコモナス原虫」という微生物が性器に入り、炎症を引き起こす性病です。
他の性病と異なり男性では症状が弱く、女性では症状が強くなる傾向があり、「膣トリコモナス症」(以下「トリコモナス」という)と呼ばれることもあります。
女性は膣炎や膀胱炎のような症状、男性は尿道炎を起こして、痛みやかゆみの症状が現れたりしますが、自覚症状がないことも多いです。
パートナーに自覚症状がない場合、検査・治療をおこなわず、パートナーとの間で再感染を繰り返すことがあります。
トリコモナスの感染経路と潜伏期間
トリコモナスの潜伏期間には個人差があり、感染経路や時期を特定するのが難しい性病です。
感染経路も性行為だけでなく、日常生活の中でも感染が確認されているため家庭内で注意が必要になります。
感染経路
トリコモナスは主に性行為やそれに準ずる行為によって感染することが多いです。
また、性行為による接触が無くても感染する可能性があります。
- ・下着やタオル類からの感染
- ・トイレや浴槽など水気のある場所を通じて感染
そのため、性行為の経験がない男女や幼児も家庭内で感染が見られる場合があります。
これらの感染は不衛生になっていることが原因なので、清潔なタオルや下着を使用することで感染リスクを抑えることができます。
潜伏期間
多くの場合は感染して5〜28日程度で症状が出ますが、感染者の多くが無症状であることが多いです。
特にトリコモナスは女性に比べて男性は症状が出にくく、放置することでパートナーへのピンポン感染が見られることもあります。
また、女性でも症状を自覚しない場合があり、感染に気づかず放置することで、不妊や流産・早産のリスクが生じる可能性があります。
こんな症状ならトリコモナス症かも?
男女ともに感染していても無症状で気づかないことが多く、放置してしまっている場合があり、男性は尿道炎、女性は膣炎や膀胱炎のような症状を引き起こす可能性があります。
さらに、似たような症状を引き起こす性病は他にもあり、症状だけではトリコモナスであると診断するのが難しいことが多いです。
トリコモナスと症状が似た性病を4種類ご紹介します。
男性:クラミジア、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ
女性:クラミジア、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ、カンジダ
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男性の場合、尿道炎の症状を伴うことが多く、症状は非常によく似ています。
しかし、治療方法が異なるため症状だけで判断することが難しいので、医療機関で早期の相談・検査をおすすめします。
女性の場合、外陰部の痒みや違和感、おりものの増加などの症状が多く、似ています。
しかし、トリコモナスの場合は泡状の強い悪臭を伴うおりものが他の性病と比べ特徴的です。
実際には、おりものの状態での区別は困難なため、このような症状が見られた場合には、男性と同様に医療機関での検査を受けましょう。
男性のトリコモナス症の症状
男性の場合は前立腺や精のう、尿道などに寄生している原虫が、性行為などにより感染します。
女性と比べて一般的に自覚症状がないことが多いです。
トリコモナスへの感染により、尿道炎や前立腺炎を引き起こす可能性があります。
【男性に見られる主な症状】
- ・排尿時の痛み
- ・尿道から膿などの分泌物が出る
- ・尿道に痒みや痛みなどの違和感
- ・尿道が熱を持ったような感覚
女性のトリコモナス症の症状
女性の場合は膣や子宮の入り口(子宮頸管)、尿道などに寄生している原虫が、腟分泌液を介して感染します。
男性と比べて症状の種類は多いですが、自覚症状がないことが多いです。
トリコモナスへの感染により、膀胱炎のような症状、膣炎、子宮頚管炎、卵管炎や腹膜炎を引き起こす可能性があります。
【女性に見られる主な症状】
- ・外陰部や膣に強い痒み
- ・外陰部や膣が熱をもったような感覚
- ・外陰部や膣のただれ
- ・外陰部や膣が炎症により赤くなる
- ・泡状の強い悪臭を伴うおりものが出る
- ・性行為時の痛み
- ・排尿時の痛み
「おりものが多いかも…」と感じたら要注意⁉疑うべき4つの性病
また、妊娠・出産への影響として、妊娠中に感染している場合、流産や早産のリスクが高くなる可能性があります。
妊娠中は膣の自浄作用が低下するため、感染しやすくなりますので注意が必要です。
感染したまま放置してしまうと、卵管炎や骨盤内炎症性疾患に進行する可能性が高まり、不妊症や早産、流産のリスクもあります。
トリコモナス症の診断は?
症状がある方、感染機会があり心配な方は、精度の高い遺伝子検査にて検査が可能です。
男性は尿、女性は膣擦過物によって検査します。
診断可能な時期
トリコモナス症の精密な診断が可能な時期は「感染機会からすぐ」と考えられています。
性病ごとに正確な検査を受けられる時期は変わる⁉生理中でも早期検査を!
淋菌感染症やクラミジア感染症、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症との重複感染の恐れや、症状が似ている場合もあります。
上記の理由から、同時に複数の検査をすることや、トリコモナス症が陰性でも症状がある場合は別の検査を受けることも考慮すると良いと考えられています。
性病治療で治りが悪い・再発する場合…性病を重複感染しているかも
尿検査の場合
男性用の検査になります。
検査結果が出るまでは、2〜7日程度です。
男性は検査の性質上、精度が安定しないため、感染しているにも関わらず、「トリコモナス原虫」が検出されない可能性があります。
パートナーがトリコモナス症に感染していた場合には、同時に治療をおこなうこともおすすめしております。
膣分泌液検査の場合
女性用の検査になります。
検査結果が出るまでは、男性と同様に2〜7日程度です。
女性は腟分泌液を綿棒で拭い採取するだけなので、痛みや不快感を感じることが少ないです。
即日検査の場合
基本的に即日検査はありませんが、症状がある場合に膣分泌液を採取して、顕微鏡で「トリコモナス原虫」そのものを確認して診断するという方法もあります。
しかし、顕微鏡で確認できないからと言ってトリコモナス症ではないという診断にはならないのが現状です。
トリコモナス症は、日本では有名ですが実際の感染者数は少ない傾向にあります。
検査前確率が低い段階に感度が低い顕微鏡での検査を即日検査として使用し、検出できないため陰性とするのは実態に沿った方法ではありません。
そのため、当院では即日検査の実施をしておりません。
パートナーがトリコモナス症の場合
トリコモナス症は、感染しても症状を感じない人が多く、パートナーにも感染している可能性があります。
感染者が治療をおこない一度治癒したとしても、パートナーが検査を受けずに感染していた場合、お互いで再感染を繰り返すリスクがあります。
特に男性は女性と比べて症状を感じにくいため、パートナーの女性が感染した場合は無症状でも検査を受けましょう。
パートナーとの間で再感染を繰り返さないためにも、パートナーは無症状でも同時期・同期間で検査を受け、もし感染していた場合は治療を遅らせないことが重要です。
トリコモナス症の治療は?
治療は主に抗菌薬の内服になります。
女性の場合は、膣への錠剤の投与という方法もありますが、女性でも尿道炎の症状が見られ、尿道への感染も考えられるため、様々な部位への効果を期待して飲み薬による内服治療がより良い選択であると考えられています。
治療薬による治療は90%程度の効果がありますが、パートナーに感染している可能性も高く、何度も再感染を繰り返さないためにも、同時治療が必要です。
トリコモナス症の治療結果はどうなるの?
治療が終了してから、医療機関にて再検査をおこない、トリコモナス症の治癒を確認します。
女性は月経血の中でトリコモナスが増殖する傾向があり、念のため、治療後1度目の生理が終わってから治癒の確認をした方が良いと考えられています。
抗菌薬の内服による治療は約90%の効果があり、非常によく効きますが、100%ではないので治療後も注意が必要になります。
トリコモナス症は自然治癒するの?
トリコモナス症に感染した場合、治療を受けずに自然治癒することはありません。
もし感染した場合は、医療機関を受診し、抗菌薬による治療を受けなければ「トリコモナス原虫」を死滅させることができず、治癒しないので注意が必要です。
女性は感染したまま放置すると、卵管炎や骨盤内感染にかかる可能性があります。さらに症状が卵管まで進むと、不妊症や早産、流産のリスクが高まります。
男性が感染したまま放置してしまうと、トリコモナス原虫が前立腺や精のうに寄生していることが多く、前立腺炎や精巣上体炎を引き起こすリスクがあります。
トリコモナス症は自然治癒しないため、放置したままにすると様々な症状を引き起こす可能性があるので、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
トリコモナス症の予防方法は?
性行為のときには正しくコンドームを使用し、感染のリスクを抑えましょう。
女性の場合、特に生理中は膣内でトリコモナス原虫が繁殖しやすいので、性行為を控えることをおすすめします。
また、性行為やそれに準ずる行為以外でも感染するため、日頃から注意が必要になります。特にタオルの共用は避け、不衛生にならないよう気をつけましょう。
まとめ
今回は「トリコモナス」について解説しました。
明らかな症状がある場合は、医療機関の受診をおすすめします。
- 男女ともに無症状が多いため検査による早期発見、治療が重要
- 感染が判定された場合はパートナーも一緒に検査を行う
- 性行為以外でも感染するため清潔にすることで感染リスクを抑える
- 妊娠中の感染は流産や早産のリスクがあるため特に注意が必要
もし、今回紹介した具体的な症状に当てはまる、もしかしたらトリコモナスに感染しているかもしれないと少しでも感じた方は、当クリニックでも検査を受けることができますので、お気軽にご相談ください。


ノワール大宮クリニック院長(医師)
2014年(平成26年)北海道大学医学部医学科卒業
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