クラミジアは国内で最も感染の報告数が多い性感染症(以下、「性病」という)として、多くの方に認知されています。

性器に感染した性器クラミジアが最も多いですが、咽頭や肛門(直腸)など性器以外からも感染するため、感染経路が多く原因の特定は難しいと考えられています。

また、症状を自覚しない人も多く、男性よりも女性の方が感染の報告者数が多いです。これは、女性の方が男性より検査を受ける機会が多いことが考えられ、無症状や無自覚の感染者も多い可能性を示しています。

症状の有無に関わらず、気になったら検査を受けるためにも症状や感染経路、放置した場合のリスクなどを見ていきましょう。

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クラミジア感染症とは?

クラミジア感染症はクラミジア(クラミジア・トラコマチス)の感染によるもので、日本国内で最も報告数の多い性病です。

性器だけでなく、口腔性交(オーラルセックス)による咽頭へのクラミジア感染、肛門性交(アナルセックス)による肛門へのクラミジア感染もあり得ます。

クラミジアは淋菌感染症(以下「淋病」という)と同様に20代の年齢層に最も多くなっています。クラミジアの報告数は淋病と異なり、女性の数が男性の数より多くなっています。

クラミジアの種類一覧

クラミジアという言葉は、多くの方に認知されていますが、クラミジアにも感染する部位によって細かく種類が分けられています。

名前 症状 検査
クラミジア性尿道炎 尿道から分泌物、排尿痛 尿
クラミジア性精巣上体炎 睾丸上に軽度の腫れ、発熱 尿
クラミジア性子宮頸管炎 おりものの増加、下腹部痛、排尿痛 膣ぬぐい液
咽頭クラミジア 咽頭の痛み・腫れ・咳・発熱 咽頭ぬぐい液
肛門クラミジア 肛門痛、血便 肛門ぬぐい液
クラミジア性結膜炎 充血、瞼の腫れ、めやにの増加 目の抗原

クラミジアの主な感染経路


出典元:国立感染症研究所※数値を当院でグラフにしたため、無断転載禁止


出典元:国立感染症研究所※数値を当院でグラフにしたため、無断転載禁止


出典元:国立感染症研究所※数値を当院でグラフにしたため、無断転載禁止

クラミジアにおける感染経路は、下記のような場合が考えられます。

  • ・感染者との性行為やそれに準ずる行為(オーラルセックスやアナルセックスなど)によって粘膜に接触して感染
  • ・挿入していなくても、性器に感染している相手とのオーラルセックスで咽頭へ感染(その逆で、咽頭に感染している相手とのオーラルセックスで性器に感染)
  • ・男性同士によるアナルセックスで肛門や直腸に感染(男女のアナルセックスでも感染)
  • ・クラミジアを含んだ体液が手についた状態で、目をこすったりすると目(結膜)に感染


キスやお風呂(温泉)、プールで感染する可能性は低いと考えられます。

クラミジアは発見に注意が必要

クラミジアの症状は男性において淋病と比較して症状が軽く、女性も症状に自覚がない方が半数以上います。

クラミジアは感染しても自覚症状に乏しく、身に覚えがなく心当たりもないことから、診断や治療に至らないことが多いです。

また、何年も放置することで男女ともに不妊症のリスクもあり、特に女性は早産や子宮外妊娠のリスクも上がると考えられています。

無自覚、無症状のうちにパートナーや出生児へ感染させることもあるので、感染に気づかなかったと後悔しないためにも、自覚症状の有無に関わらず心配な場合や心当たりがある場合は検査を受けることを推奨しています。

性病の発症で浮気を疑われた…心当たりのない性病への感染について

クラミジアの症状とは?

性器のクラミジアの場合、男性の症状は主に尿道炎で、女性の症状は主に子宮頸管炎となります。
男女ともに自覚症状に乏しい傾向がある性病ですが、男性は女性と比較して症状が軽度であることが多いです。

男性のクラミジアの症状

  • ・排尿時の軽い痛み、違和感、かゆみ
  • ・尿道から少量のサラサラした分泌物が出る
  • ・症状を自覚しないことや無症状


基本的には、症状を自覚しないことや無症状が多いです。

その中でも、尿道炎による排尿痛の症状が多く見られ、尿道から漿液性(サラサラ)から粘液性(ネバネバ)の分泌物が少量から中等量出現し、排尿痛は軽い場合が多いです。

他にも、軽い尿道の痒みや不快感もありますが、症状を自覚しない場合が多いです。
尿道を外に向かって圧迫することで、分泌物を確認できることがあります。

頻尿、残尿感、排尿後の痛みや不快感などの症状から、膀胱炎や前立腺炎が疑われ、その原因がクラミジアである場合もあります。

性的活動期の男性に膀胱炎は少ないとされており、クラミジアは自然治癒しないため、膀胱炎や前立腺炎のような症状がある場合は注意が必要です。

男性におけるクラミジアの潜伏期間

男性におけるクラミジアの潜伏期間は、感染機会から1〜4週間で発症する人が多いとされています。

クラミジアは、淋病による尿道炎と比較して、潜伏期間が長く、発症は緩やかで、症状も軽度の場合が多くなるため、半数以上が感染していても気づかないことが多いです。

男性がクラミジアを放っておくと…

クラミジアが原因となり精巣上体炎になる可能性もあり、淋病による精巣上体炎と比較して、腫れは軽度で発熱があっても軽いことが多いです。

しかし、精巣上体炎は男性における不妊症の原因にもなりますので、注意が必要です。

女性のクラミジアの症状

  • ・不正出血、下腹部痛、かゆみ
  • ・性交時の痛み
  • ・オリモノの臭いが変わる、量が増える
  • ・症状を自覚しないことや無症状


男性と同様に女性の多くが症状を自覚しないとされ、医療機関にて検査を行うことでクラミジアを発見することが重要になります。

また、症状を自覚してもトイレが近い、残尿感、排尿後の痛みや不快感などの膀胱炎のような症状を繰り返すことで性病ではなく膀胱炎だと勘違いされることがあります。

クラミジアが原因の場合は自然治癒しないため、膀胱炎のような症状を繰り返す場合は注意が必要です。

女性におけるクラミジアの潜伏期間

女性におけるクラミジアの潜伏期間は、男性と同様に感染機会から1〜4週間で発症する人が多いとされています。

クラミジアは発症が緩やかで症状が軽度であることから感染が判明していない保菌者も多いと考えられ、実際の感染者数は報告数より多いと考えられています。

また、症状を自覚しないまま、他者への感染源になっていることも考えられます。

女性がクラミジアを放っておくと…

子宮頸管炎の症状として、帯下の増量や不正出血や下腹部痛、性交痛などが生じます。
症状が軽いもしくは自覚しない人が多い中で、強い下腹部痛を感じる人もいます。

また、治療せずに放置しておくと後遺症として不妊症や子宮外妊娠の可能性があり、分娩時の胎児への感染の可能性もあります。

他の性病との重複感染にも注意

クラミジアは淋病やマイコプラズマ・ウレアプラズマと重複して感染するケースもあります。淋病が発症しているとき、男性で約15〜25%、女性では約35〜50%はクラミジアに重複して感染しているという報告もあります。

また、マイコプラズマ・ウレアプラズマとクラミジアは症状が似ており、同時に感染していることも珍しくありません。

しかし、男女ともにクラミジアが有名なため、クラミジアが優先されて淋病やマイコプラズマ・ウレアプラズマが重複して感染していてもそれらの検査が行われずに見逃される可能性が高いです。

性病の重複感染は珍しくない⁉重複しやすい性病とは

性器以外へ感染した場合

咽頭や直腸(肛門)におけるクラミジアの感染は、症状から性病を疑われにくいことや自覚症状に乏しいことから放置されていることが多いです。

感染への可能性に心当たりがある場合は、性器だけでなく咽頭や直腸の検査も同時に実施することが重要です。

咽頭への感染

感染している相手の粘膜に触れることで感染し、咽頭クラミジアといわれています。
自覚症状に乏しく、症状を自覚することはないことが多いです。

【主な症状】

  • ・咽頭が腫れ上がる
  • ・咽頭がイガイガして痛い
  • ・急な発熱や咳


咽頭へ感染したまま放置しておくと、以下のような可能性があります。

  • ・咽頭痛が続いて治らない
  • ・オーラルセックスなどにより、パートナーへ感染させてしまう
  • ・自覚症状に乏しいため、別の性病と重複感染する

肛門(直腸)への感染

感染した分泌物が肛門に触れることで感染し、肛門クラミジアといわれています。
自覚症状に乏しく、症状を自覚することはないことが多いです。

【主な症状】

  • ・肛門周辺がヒリヒリとして痛い
  • ・排便時に肛門から出血する
  • ・血液が混じりベタベタとした分泌物がでる
  • ・直腸の粘膜がブツブツになる


肛門(直腸)へ感染したまま放置しておくと、以下のような可能性があります。

  • アナルセックスなどにより、パートナーへ感染させてしまう
  • 自覚症状に乏しいため、別の性病と重複感染する

目(結膜)への感染

感染した精液や体液が付いた手などで目に触れることで感染し、クラミジア性結膜炎といわれています。
日本を含めた先進国では目(結膜)の感染はほとんど見られません。

また、1ヶ月ほど点眼薬を使っても治らない結膜炎はクラミジアが原因であることを疑います。

【主な症状】

  • ・結膜が赤く充血する
  • ・瞼がプクッと腫れる
  • ・めやにが多くなる


目(結膜)へ感染したまま放置しておくと、以下のような可能性があります。

  • ・性交渉などにより、パートナーへ感染させてしまう
  • ・日本を含めた先進国では稀だが、発展途上国では失明の原因として有名


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クラミジアの予防方法とは?

クラミジアは感染しても、きちんと治療を行えば治癒するため再発することはありません。
再度、性病に感染した場合は未治癒であったか、別経路で同じ菌に感染した再感染を疑い増す。

そのため、治療によって治癒しても再感染するリスクはあるので、予防していくことが重要です。

予防するには、主に下記の2つに注意が必要です。

  • ・性行為のときにはコンドームを着用する
  • ・感染が疑われる相手との性行為を避ける


コンドームを着用すること、不特定多数の人との性行為やそれに準ずる行為を控えることでリスクを抑えることができます。

しかし、これらでリスクを抑えることはできますが、検査・治療をきちんと医療機関で行うことが最も重要です。

また、パートナーの感染が判明した場合は、一緒に検査を受けることを推奨します。
治療したとしても、パートナーが感染していれば再び感染してしまうため、同時に治療を行うことが重要です。

まとめ

今回は「クラミジア感染症」について解説しました。

  • 認知度が高く国内で最も報告数の多い性病
  • 男女ともに自覚症状に乏しく症状を自覚している人は少ない
  • 主な感染経路は性行為やそれに準ずる行為
  • 感染を放置したままにすると不妊症のリスクも考えられる
  • クラミジアは性器だけでなく咽頭、肛門、眼にも感染する
  • 症状の有無に関わらず定期的に検査を受けるのが理想


もし、性病へ感染する可能性のある行為に心当たりがあるかもしれないと、少しでも感じた方は、当クリニックでも検査を受けることができますので、お気軽にご相談ください。

ノワール大宮
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ノワール大宮クリニック 院長:成田学史

執筆者:成田 学史
ノワール大宮クリニック院長(医師)
2014年(平成26年)北海道大学医学部医学科卒業
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