股間・デリケートゾーン(陰部)のかゆみを引き起こす性病(感染症)・病気の種類について

公開日:2022年06月09日

更新日:2024年6月24日

性病知識コラム 陰部のかゆみ

股間・デリケートゾーン(陰部)のかゆみを引き起こす8つの性病

股間・デリケートゾーン(陰部)のかゆみの原因として考えられるものに性感染症(以下「性病」という)があります。そして性病と聞くと、マイナスなイメージを持つ方が多くいると思います。
本記事では股間・デリケートゾーン(陰部)のかゆみを発症させる性病について解説していきます。

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股間・デリケートゾーン(陰部)のかゆみを引き起こす8つの性病


感染症によるデリケートゾーンのかゆみの原因の多くは、性病によるものになります。

ここではその原因となる性病を挙げていきます。

クラミジア感染症:クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)

クラミジア・トラコマチスという細菌による感染症です。日本で最も多い性病と言われています。感染すると、男性では尿道炎や精巣上体炎、女性では子宮頸管炎や卵管炎・卵巣炎を起こしますが、自覚症状に乏しい方も多く発見が遅れることがあります。症状には、男性では尿道から少量の膿が出る、女性ではオリモノの増加があります。その結果、亀頭や包皮の腫れ(亀頭包皮炎)や大陰唇等の外性器の腫れが出ることがあり、デリケートゾーンのかゆみとして自覚される方も多いです。放置すると不妊の原因にもなります。

クラミジア感染症について詳しくはこちら

淋病(淋菌感染症):淋菌(Neisseria gonorrhoeae)

淋菌という細菌による感染症です。淋病に感染すると、男性では尿道炎や精巣上体炎、女性では子宮頸管炎や卵管炎・卵巣炎を起こします。男性は尿道から膿が出る、女性はオリモノが増量するとして症状を自覚されることが多いですが、自覚症状に乏しい方もいるため注意が必要です。亀頭や包皮の腫れ(亀頭包皮炎)や大陰唇等の外性器が腫れることがあり、デリケートゾーンのかゆみとして自覚される方も多いです。放置すると不妊の原因にもなります。

淋病について詳しくはこちら

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症:マイコプラズマ、ウレアプラズマ

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症は細菌による感染症です。原因菌にMycoplasma genitalium(マイコプラズマ ジェニタリウム)、 Mycoplasma hominis(マイコプラズマ ホミニス)、 Ureaplasma parvum(ウレアプラズマ パルバム)、 Ureaplasma urealyticum(ウレアプラズマ ウレアリチカム)という4種類の菌があることが判明しています。症状はクラミジアと似ており、男性では尿道から少量の膿、女性ではオリモノの増加があります。クラミジア感染症と同様に自覚症状に乏しい方も多いです。亀頭や包皮の腫れ(亀頭包皮炎)や大陰唇等の外性器の腫れが出ることがあり、デリケートゾーンのかゆみとして自覚されることがあります。あまり知られていない感染症ですが、検査で感染が判明することが多く、潜在的な感染者数はかなり多いと考えられます。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症について詳しくはこちら

トリコモナス症:膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)

トリコモナス症は単細胞生物による感染症です。自覚症状に乏しい場合も多いですが、男性では尿道から少量の膿が出たりかゆみが生じることがあり、女性では悪臭を伴うオリモノの増加や時に激しいかゆみが生じます。デリケートゾーンのかゆみ、亀頭や包皮の腫れ(亀頭包皮炎)や大陰唇等の外性器の腫れとして自覚することもあります。

トリコモナス症について詳しくはこちら

性器カンジダ症

カンジダという真菌(カビ)による感染症です。健康な男女も持っている常在菌ではありますが、デリケートゾーンのかゆみが生じることがあります。男性ではそれ以外の症状は乏しいことが多く、女性では粘度の高い白いぱらぱらしたオリモノが増えることがあります。

性器カンジダ症について詳しくはこちら

性器ヘルペスウイルス感染症(性器ヘルペス)

単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)による感染症です。性器やその周辺に液体で満たされた痛みのある水疱ができ、その水疱が破れてびらんや潰瘍が発生します。強い痛みが特徴で、1〜2週間程度で黒いかさぶたを形成しながら、多くは自然に症状が治まります。

性器ヘルペスウイルス感染症について詳しくはこちら

いんきんたむし(股部白癬)

水虫で有名な「白癬菌」という真菌(カビ)による感染症です。若い男性に多いと言われ、強いかゆみが特徴です。性行為をしなくても、感染した人の皮膚を介して触れるだけで感染する可能性もあります。白癬菌は皮膚のたんぱく質を栄養源とし、温かく湿った環境で増殖します。股部は男性では、陰嚢があるため湿気が発生しやすくなります。そのため、女性より男性に多くなります。足や爪で有名な水虫ですが、それらと比較するといんきんたむし(股部白癬)は比較的少ないと考えられます。

ケジラミ症:ケジラミ(Pthiruspubis)

ケジラミという虫が寄生して生じます。男女ともに強いかゆみが特徴です。性行為をしなくても、タオルやシーツ等を介して感染することもあります。1〜2mm程度の灰色がかった楕円形の光沢のある卵や、ケジラミの排泄する黒点状の糞を目視で確認することもできます。名前は有名ですが、現代の日本ではあまり見なくなりました。

デリケートゾーンのかゆみの原因で間違われやすい病気


デリケートゾーンがかゆい際に、何か病気が原因なのではと考えられる方が多いです。その原因として間違われることが多い病気を以下に挙げます。

性器カンジダ症

特に女性において、性器カンジダ症をデリケートゾーンのかゆみの原因と考えられることが多いです。また、男性でもカンジダを疑って来院される方も一定数います。しかし、実際にはクラミジア感染症、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、トリコモナス症がデリケートゾーンのかゆみの原因である場合も多いため、注意が必要です。
女性の場合、性器カンジダの場合は水っぽいオリモノの量が増えることは少なく、基本的に臭いも変わりません。男性においては、性器カンジダ症は意外と珍しく、女性同様に基本的に臭いも変わりません。そして、男女とも「クラミジア感染症、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、トリコモナス症」は性器カンジダ症と異なり、塗り薬では治らず症状を繰り返すことになります。

性器ヘルペスウイルス感染症(性器ヘルペス)

有名なためデリケートゾーンのかゆみの原因と考えられることが多いですが、実際にそのかゆみの原因はクラミジア感染症、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、トリコモナス症であることも多いため注意が必要です。性器ヘルペスは症状がより強いことが多く、1〜2週間程度で黒いかさぶたを形成しながら多くは自然に症状が治まっていきます。

いんきんたむし(股部白癬)

デリケートゾーンのかゆみの原因と考えられることが多いですが、実際にそのかゆみの原因はクラミジア感染症、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、トリコモナス症であることも多いため注意が必要です。これらの性病はいんきんたむし(股部白癬)のように塗り薬では治らず症状を繰り返すことになります。また、いんきんたむし(股部白癬)ではこれらの性病と異なり基本的に臭いは変わりません。

ケジラミ症

デリケートゾーンのかゆみの原因と考えられることが多いですが、実際にそのかゆみの原因はクラミジア感染症、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、トリコモナス症であることも多いため注意が必要です。ケジラミ症ではこれらの性病と異なり基本的に臭いは変わりません。そして、ケジラミ症は現代の日本では珍しい病気です。

デリケートゾーンのかゆみの原因で注意すべき病気

デリケートゾーンがかゆい時に、クラミジア感染症、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、淋病、トリコモナス症の性病に注意する必要があります。
理由として、

  1. 自然治癒はしないこと
  2. 原因の判明に特異的な検査が必要なこと
  3. 治療法が原因により異なること
  4. 他者へ感染させる可能性があること
  5. 何度でも再感染すること
  6. 不適切な治療による耐性化の危険性があること
  7. 不妊症等の後遺症のリスクがあること

これらが挙げられます。また、強い症状を自覚しない方も多く、他者への感染源になることがあります。さらに、複数の性病に感染する重複感染もあります。

まとめ

デリケートゾーンのかゆみは性病が原因であるケースも多いです。その原因が性病である場合、放置するとより深刻な状況になる場合もあるため、専門の医師に相談をし、適切な検査・治療を受けることが重要となります。

ノワール大宮
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ノワール大宮クリニック 院長:成田学史

執筆者:成田 学史
ノワール大宮クリニック院長(医師)
2014年(平成26年)北海道大学医学部医学科卒業
日本性感染症学会 会員
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